『スマック シリアからのレシピと物語』
アナス・アタッシ著 佐藤澄子訳
アナス・アタッシ著 佐藤澄子訳
NPR(アメリカ公共ラジオ放送)が選ぶ、2021年最高の料理本
おそらく日本初となる、シリア家庭料理に特化したレシピ本。 著者が母親から学んだ家庭料理を中心に85のレシピ + 9つのエッセイを収録。 戦時下の瓦礫の風景ばかりを目にするシリアの、本来の豊かな食文化を伝えたいという著者の願いがあふれる、温かい本です。 つくりやすく、どこか懐かしい味わいのレシピから、スパイス料理の新しい地平が広がります。 シリアの日常風景の写真多数。コーヒーテーブルブックとしても美しい1冊。 *アメリカ公共ラジオ放送. 参考リンク:NPR: Books We Love, 2021, cookbooks, Sumac 戦争の惨禍により、人生の大半を国外で過ごさなければならなかったシリア人であるアタッシは、母親と故郷へのオマージュとして、さまざまな味や料理や思い出をたぐり寄せて紹介しています。これは彼にとって大切な食べものを読者であるあなたにも楽しんでもらおうとしている、とても心の広い本です。この本を読んで、私もその食卓につきたい、いっしょに味わいたいと、思い焦がれたのです。 —ナイジェラ・ローソン 優れた料理書はかならず、きわめてプライベートでありながら、ひとつのレシピ、ひとりの作り手の台所を超えてその国の、その民族の文化と日常へと広がっていく。物語とは、そういう場所と時間が育む声だ。…… うっとりする料理の数々や街頭のスナップ写真が、内戦や天災で瓦礫の山と化した街景しか見せられてこなかった国の、実は素晴らしく豊かな暮らしを見せてくれる。料理が苦手というひとでも、写真とエッセイを読んでみるだけでステレオタイプなシリア観が一変するはず。だからレシピ本というだけで敬遠してしまうひとにこそ読んでもらいたくて、僕はこの本を紹介させてもらった。 —都築響一 料理に故郷はあっても国境はない。 どこに暮らしていても、愛着のある料理を作る時、キッチンはその人の故郷、家になる。 ……「僕だけの物語ではない。ひとつの国の人々全体の物語だ」とアタッシさんはつづる。個人的であるゆえに社会的、ささやかだからこそ普遍的なことがある。 ― 長沢美津子(朝日新聞編集委員) シリア料理のレシピたくさんに家族生活の思い出が加わる。食べる場面が想像される。…… 現地でシリア料理を食べたことはないのだが、察するにレバノン料理の洗練とイラク料理の野趣の間に位置する味であるようだ。…… 基本は著者が母から教えられた献立で、「戦争によって世界のあちこちに追われる以前に、ほとんどのシリア人が送ってきた家族生活」に基づいているという。家庭料理なのにパーティー向けのものが多いのはお国柄だろう。 ― 池澤夏樹 海外の人が「日本」と聞いてイメージするものが、たとえば「原爆」と「地震」のみだったらどんなに寂しいことだろう。同じようにシリアというと思い浮かぶのが「内戦」「難民」「地震」ばかりなのがなさけないが、本書はそんな偏ったイメージを覆してくれた。…… ところどころに挟まれたエッセイは、家族の結びつきが密で、その結び目に必ず食の風景が関わっていることを教えてくれる。…… そんな特別な日の記憶を、彼はシリアより遥か北のアムステルダムの地で友人たちに料理を振る舞いながら育んでいる。 ― 大竹昭子 料理を通して抱く郷愁と、末来への希望―。アナスさんの思いは日本の読者にも届き、「シリアの日常がこういうものだったと初めて気付かされた。そして、それが失われたということも」といった感想が寄せられているという。…… 刊行前に全品試作した佐藤さんは「シリア料理の教科書ではなく、ある家族によるレシピなので、味は優しい」と話す。いくつかのスパイスを用意する必要があるものの、日本でも気軽に調理できる料理が多く紹介されている。「アナス君がサウジアラビア、オランダと移り住んだことでアレンジされたものもありますが、それは毎日作る料理だからこそ。『変化していい』という家庭料理の懐の深さも感じます」 ― 行司千絵(京都新聞) (敬称略) 書籍情報
タイトル スマック シリアからのレシピと物語 定価 4,620円(4,200円 + 税) 発行日 2023年1月10日 ISBN 978-4-9912795-0-8 サイズ 202 × 276 × 27 mm 仕様・ページ数 上製本、248ページ(オールカラー) 著者 アナス・アタッシ 訳者 佐藤澄子 発行者 佐藤澄子 発行所 2ndLap合同会社 印刷・製本 株式会社第一製版 〔もくじ〕
(009) はじめに (013) 僕のキッチンへようこそ 朝食 (025) 週末の朝食は祖母の庭で (027) ムサッバハ:ひよこ豆、ヨーグルトとタヒーニのソース (028) ジャズマズ:トウガラシ入りトマトソースの落とし卵 (030) マヌゥーシ・ザアタル:ザアタルの薄焼きパン (033) フール・ムダンマス:そら豆のオリーブオイル浸し (034) ムラッバ・エル・バティニャン:ナスのジャム (036) エジィ:卵のパンケーキ、パセリ入り (039) ケブズィ・ハッラ:スパイシー・トマトソースを乗せた薄焼きパン (040) ラブニィ:ヨーグルトチーズ (043) ラブニィ・ボール メッゼ:ディップなど、分け合うもの (047) 毎年恒例、母の「女性限定の夜会」 (048) ムタッバル:焼きナスとヨーグルト、タヒーニのディップ (050) バテルシ:ナスのディップ、ひき肉入りトマトソースを乗せて (053) ムファラキィ:牛肉とズッキーニの卵料理 (055) ナスと赤パプリカのディップ (056) バタータ・ハッラ:スパイシーポテト、にんにくとコリアンダー風味 (060) ホンモス・ビ・タヒーニ:タヒーニのホンモス (061) ホンモス・ビ・ゼイト:オリーブオイルのホンモス (064) フール・マッラ:そら豆、コリアンダーとにんにくで (067) ムタッバル・シャワンダル:ビーツとタヒーニのディップ (068) ファタイェル・ビ・サバーニク:ほうれん草のパイ (070) サンブーサック:チーズのフィロ巻き (074) サンブーサック:肉入りフィロ巻き (075) スフィーハ:ひき肉を乗せたミニ薄焼きパン (079) アレッポのモルタデッラ:にんにくとピスタチオのビーフソーセージ (080) ラバン・ビ・キヤール:きゅうりとにんにく入りヨーグルト (082) ムハンマラ:パプリカとクルミのスパイシーディップ ストリートフード (087) 男子の夜遊び (088) ベイティンジャン・ビ・ハムッド:酸っぱいナス (092) ファラフェル (093) 牛肉のシャワルマ (098) ザハラ:カリフラワーのスパイシーロースト (102) トシカ:肉とチーズのスパイシーなトーストサンド (105) ロブ・エル・コッサ:ズッキーニのグリル、にんにくとミントと 穀類や野菜など (109) 冬の温かいごちそう (112) ファットゥーシ:トーストが乗った有名なサラダ (115) ファソリア・ビ・ゼイト:いんげん豆、トマトとオリーブオイルのソース (117) ショルバット・アダス:伝統的な赤レンズ豆のスープ (118) イチ・サラダ:ジナン叔母さんのブルグルサラダ (121) ムハラル:スパイシーピクルス (122) シーフ・ムシャッタ:ナスのグリル、ヨーグルトソース (125) ホラク・オスバオ:レンズ豆とパスタの煮込み、タマリンドとザクロと (126) 母さん得意のビーツのサラダ (129) ムジャッダラ:レンズ豆のピラフ、飴色玉ねぎと (134) ヤランジ:米を詰めたスイスチャード・ロール (135) ビワーズ:玉ねぎとパセリのシンプルなサラダ 牛と羊の料理 (139) 真夏のバーベキュー (142) サバーニフ・ビル・ロズ:ほうれん草とミートボールの煮込み (145) バゼラ・ビル・ロズ:グリーンピース入りビーフシチュー (146) ムナザレィ・ベイティンジャン:焼きナスと牛ひき肉のオーブン焼き、トマトソース (151) マクルーベ:ナスと牛肉のピラフ (152) ラーム・ビ・サイニィ:ラム肉のコフタ、タヒーニソース (156) キッビィ:ブルグルと肉のコロッケ (159) キッビィ・ハムッド:トマトとザクロの酸っぱいソースのキッビィ (161) キッビィ・ラバン:ミントヨーグルトソースのキッビィ (162) キッビィ・サイニィ:キッビィのタルト (167) メフシー・エル・ジャザール:パースニップの肉詰め、トマトソース (168) ショルバット・アメィ:ラムシャンクと大麦のトマトスープ (171) ウズィ:肉と米を詰めたフィロ・ペイストリー (172) ケバブ・カラズ:ラムケバブ、チェリーソース (174) ラムと野菜のケバブ、ケブズィ・ハムラと 鶏と魚の料理 (179) 海に面したテーブル (181) ジャンバリ・マッラ:海老のにんにく、コリアンダー、カイエンペッパー炒め (182) タジェン・サマック:魚のロースト、スマックとタヒーニのソース (187) アガバニ・テーブルクロス (188) サヤディイー:スパイシーな魚のピラフ、飴色玉ねぎと (191) チキン・ケバブ:チキン・コフタ・ケバブ (194) シシ・タウォーク:チキン・シシ・ケバブ (196) 赤いブルグル・ビ・ジャラ:ローストチキンと「ダーティ」ブルグル (198) 夏サラダ:スイカ、ハロウミチーズ、ミントのサラダ (201) サムキィ・ハラ:魚のグリル、ナッツのスパイシーソース (202) ムサッハン・ラップ:チキン、玉ねぎ、スマックを巻いた薄焼きパン デザートと飲みもの (207) ラマダンの食卓 (210) カマル・アル・ディーン:アプリコットとオレンジブロッサムのジュース、松の実と (213) ムバタン:ライスプディング、アプリコットシロップ (214) アシタ:シリアスタイルのリコッタチーズ (216) 渦巻きシャビヤート:アシタとラズベリーを詰めたフィロの渦巻き (222) くるみのバクラワ (225) アサフィリ:アシタとピスタチオを詰めたパンケーキ (226) スゥース:甘酸っぱい甘草の飲みもの (228) ジャラーブ:シロップとナッツとレーズンの飲みもの (231) カルカディ:スパークリング・ハイビスカス・ティー、レモンスライス入 (232) アイシ・エル・サラーヤ:キャラメルとパンの土台にアシタを乗せた「チーズケーキ」 (234) キャラウィヤア:キャラウェイのライスプディング、ナッツとすりおろしたココナッツを乗せて (237) カアク:ごまとアニスを纏ったクッキー (239) 忘れられたデーツのケーキ (240) カタイエフ:アシタとくるみを詰めたミニパンケーキ (242) 索引 (247) 謝辞 |